加藤健二
限界風景というテーマで2016年から制作しています。それは、人工的なものと自然的なものの交差する風景(例えば、河川工事、都市開発工事など)を観察し、そこで新たに繰り返される人工物の構築行為とそれによって失われていくモノ・コトへの感情的なものを通し、現代の風景の限界を見つめているのです。そして、その時間を時系列で絵画にしていくのです。
観察現場のドキュメントを時系列で抽象的表現によって絵画にしていく構成をとっています。画面は、レイヤー的表情となり、重なりと繋がりの構造を持っています。下に描かれた線や色面に思いもよらぬ要素が重なり、見る人には、行為の繋がりや重なりから複数のイメージが複雑に映ると思います。その視覚体験から、複雑な現代のポエジーを感じ取っていただけるでしょう。