「自分なりに発表を続けて、共感してくれる人が現れてくれたらいいなという気持ちで活動しています。描くことは好きでも、人に発表するのが苦手でした。自分の心の中や、本当に描きたいなって思ったものを抽象的なイメージで描いていましたが、少しずつ発表を重ねるようになった時、見てくれる人が増えていったことをきっかけに”もう少し表に出てみようかな”と思ったのが始まりでした。絵を見て創作背景を読んで、共感していただける方が少しずつ増えていって。自分がいいなと思ったものや生きづらさを、わかってくれる人っているんだなっていうのが、1番嬉しかったことです」
穏やかな語り口で、心をこめて色々な経験を話してくださった夕飛さん。絵を描くこと、夢や人の心について学ぶこと、空を眺めることなど、好きなことに対する想いをギュッと詰めて活動されているのだという。そうした夕飛さんの素敵なお名前の由来にも、魅力的なエピソードが隠れている。
「寝る時にいろんな人が夢を見ますよね。私は夢が本当に大好きで、独学で夢分析のことを調べたり学んだりしてきました。夢分析は夢占いとはまた少し変わったポジションにあるものなんですが、おかげさまで苦しかったことから解放された経験があります。私のそういう過程も知ってほしいなということで”夢が好きだよ””人の心の世界が好きです”という気持ちを自分なりに絵に込めています。元々は夕焼けが好きだったので夕日と名乗っていました。その後オリジナルを発表していこうかなと思った時に、もうちょっとがんばろうかなって気持ちを込めて”日”を”飛ぶ”っていう字にして。自由に飛んでいきたいなって気持ちを名前に込めました。絵にも、Yに翼のマークをつけてサインを入れています」
「作品は”狭間の世界”みたいな位置で、暗いのも温かいのも全部描けたらと思っており、あまり作風を固定しないようにしています。キャラクターを考えるのが好きで、逆に文字で理解するのが少し苦手なこともあり、勉強する時にもイメージをイラストにして覚えてきました。作品によく登場する白い人物は、イメージを覚えておくために記録をしたのが始まりです。元々子どもの頃に読んでいたすごく好きなマンガの主人公や作品の雰囲気をイメージしたものでしたが、大人になって思い返そうとしても何という作品かずっとわからなかったんです。けれど忘れてしまうのが嫌で、ずっと心に寄り添ってくれているキャラクターへの感謝の意味も込めて、ノートに何度も何度も描いていました」
そのマンガは、夕飛さんのお好きな夢を扱うストーリーだったそうだ。そのほか夢に登場したものや、ほんわかと抱いたイメージを保存するためにイラストを描くことも多いのだそう。日記を書くようなかたちでノートに記憶を留められているそうだ。白いキャラクターの他にも、もうひとつ夕飛さん作品を象徴するキャラクターがいるとのことでお話を伺った。
「もうひとつ黒い髪の少年の絵も多いのですが、彼は私の好みのキャラクター像を軸にしています。絵柄的には結構怖い感じの印象ですが、見られる方によっては”ふわっとして優しい雰囲気もある不思議な感じ”とも言われますね。私は元々かなりの怖がりで、なかなか新しいことに手を出さなかったり人見知りをしちゃったり。でも”怖いけどがんばってみたら意外とできた!”という経験からも、勇気を出してみるって大事なことだと思うようになりました。男の子になった気持ちで1歩出るための勇気を振り絞るようにしているんです。そうした気持ちも込めて、男の子のキャラクターを描いています」
「うさちゃんは”夢うさぎちゃん”っていう、夢の世界のうさちゃんで、白い男の子とセットで、バランスを保つために考えられたキャラクターです。うさぎさんの単純なかわいさや、平和が望む私の気持ちが反映されてると感じています。結構かわいいと言ってもらうことが多く嬉しいです。実際にポストカードを作ったことがあったのですが、その年が兎年で”干支だから買おうかな”と言ってらした方も多くいました。毎年年賀状として12月に絵を描いて、ネットプリントできるように公開してるんですけれど、何年でもうさちゃんを描いています。干支の要素を織り交ぜつつ、でも絶対にうさちゃんはいるんです。今年はまだ描けていないんですけど、そろそろ準備しようと思っています」
年末に間違いなく需要が増えるであろう、夢うさぎちゃんイラストの年賀状。制作後に例年、夕飛さんのホームページで公開をしているようなので、気になる方はぜひチェックしていただきたい。ホームページで情報をチェックいただきたいポイントが実はもうひとつあるとのことで、最後にご紹介いただいた。
「2、3ヶ月おきくらいで個展を行っていて、来年(2025〜2026年)まではこのペースでやっていきたいなと考えています。これまでは犬山を中心に名古屋、東京で開催しており、今度初めて大阪に行きます。元々はクリエイターさんの即売会などで作品を出していましたが、個展を始めたことで今まで通りの活動方法だったら出会えなかったかなという人とかも結構見てくださって嬉しいです。これから個展を少しずついろんなところでできるように増やしていきたいと考えています。情報をホームページで公開していくので、見ていただけたら嬉しいです」