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Interview: 海南百合香

岩絵具の一粒一粒の輝きが
曖昧に遠くでキラキラするイメージをカタチにする

 

簡単に自己紹介をお願い致します。

 


海南百合香(うなみゆりか)と申します。
日本画素材を用いて絵を描いている画家です。
神奈川県出身で、武蔵野美術大学日本画科を卒業しました。在学中から展示活動や公募展出品などしてきて、平日は会社勤めの現在も、ゆっくりなペースではありますが画家活動を続けさせていただいています。

 
 
 

日本画としては特徴的な画風かと思います。今の幾何学的な画風に至った経緯を教えてください。

 
遡って思い起こすと、美大受験時代からこのようなテイストの片鱗があったかもしれません。当時はだまし絵のように、パッと見て何が描かれているか分からない、よく見ると形が見えて面白い、というような感じを目指してよく描いていました。
それが派生して、現在ではステンドグラスや万華鏡のように破片が合わさって物の形を成すように描いています。テーマが大体私の過去の記憶や夢や想像なので、存在していると言えるか分からないそれらが曖昧に遠くでキラキラとしているイメージです。
 

なぜ日本画を選んだのでしょうか?

 
 
私の絵はほとんど「色」で成り立っているようなものなので、絵の具選びは重要です。日本画の岩絵具はとても魅力的で、私の表現したい優しさや儚さが詰まっているように思いました。
前述したキラキラしているイメージと、岩絵具の一粒一粒のキラキラもマッチしています。 
 
 

 

作品を見た人にどのような思いを伝えたいですか?

 
優しい気持ちになる、癒される、元気をもらえる、といったポジティブな感想をいただくことが多くて、それは私も目指すところなので嬉しいですし、それぞれ何か感じるものが少しでもあるようでしたら、もうそれだけで嬉しいです。
なので自由に感じていただけたら何よりなのですが、強いて挙げるとするならば、塞ぎ込んでいる感情に対しては「今見えているものだけが世界じゃないよ、自分次第で見え方も変えられるし、まだまだ知らない世界もたくさんあるよ」という思いを筆に乗せています。
 

作品を作る上で、大切にしている感情や世界観はありますか?

 

 
すべての作品がそうではありませんが、不安や恐怖、さみしさ、悔しさ…など、実はネガティブな感情や事象を発端に描き始めることが多いです。
でもネガティブのまま終わらせるのではなく、励ますように、奮起するように、トンネルの明るい方へ進むように描き進めるイメージは常に持っています。
私自身、大体何かあっても「(今はこんな状況でも)まぁなんとかなるだろう、なるようになるだろう」という気持ちがあり、比較的ポジティブな性格だからだと思います笑
 

絵を描くヒントを得るために何かしていることはありますか?

 
ほとんどの場合、日常を過ごす中で次に描きたいものが自然と浮かんでくるのですが、うまくまとまらないときはとにかく文字で書き起こしています。
こういうイメージ、こういう感情、こういう色、という単語を並べて。
 

これからどんなことに挑戦していきたいですか?

 
日本画の素材や、絵画だけにこだわらず、何か違った表現の方法も模索していきたいです。
実際に今やっていますが、Tシャツやスマホケースなども簡単に作れたりしますし。
他にも面白い表現方法があればチャレンジしていきたいです。
あとはもっと多くの人に見てもらえるよう、活動の幅も広げられたらと思います。
 


 

  海南百合香  

 
過去の記憶や夢など曖昧なものをモチーフにすることが多く、それらを描き起こすように色を重ねています。
幾何学的な図形は、万華鏡の煌めく素材のように、記憶の欠片のような表現です。
また、絵画は聴覚を刺激することはありませんが、音楽のようでありたいとも考えていて、描いている間はずっと意識しています。
色や形が奏でる空気感、世界観を少しでも感じていただけたら嬉しいです。
 

▼略歴
1990年:神奈川県出身
2014年:武蔵野美術大学造形学部日本画学科 卒業

 

2011年:中美展入選
2012年:三菱商事アートゲートプログラム第15回入選
2014年:三菱商事アートゲートプログラム第26回入選
2015年:三菱商事アートゲートプログラム第27回入選
2016年:三菱商事アートゲートプログラム第33回入選
2017年:個展 コート・ギャラリー国立(国立)
2018年:個展 ギャラリー檜(京橋)
 
その他グループ展、企画展出品