伴野加代子


カルチャー教室から始まった
版画家としての人生。
瞬く間に中央へ

作品名:私の泥からも咲く時は来る
日本版画協会入選作品

簡単に自己紹介をお願いできますか?

 

作品は主に銅版画です。銅版画、シルクスクリーンでのミクストメディア(コラージュ)などを作っています。具象から抽象までその時の自分の受けた印象やイメージでこだわりなく色々描いています。飽きっぽく同じことだけやっていると飽きてしまう性格なので、色々なことをやりたいのですが版画にはこだわりたいと思っています。

 

伴野さんは版画がメインではありますが様々な技法を取り入れていますね。

 

そうですね、版画をコラージュしている作品なんかはなかなか他の人はやっていないように思います。
ヨーロッパでは銅板はわりと普通なのですが日本で作っている人が少ないのでその辺は私にとってはプラスかなと。銅版とシルクスクリーンを使ってミクストメディア作品を制作していますが、海外では珍しさから少し話題になるらしいです。使っているのも全て和紙なので日本らしい部分も感じる様で、海外受けが良いです。

元々は海外の展示のお話が来ていて、何度か受けていたのですが「展示だけしていてもなー」と思い販売もするようになりました。版画を始めて5年で版画自体は長くないです。以前はイラストを描いていました。

 

版画に特化している理由はなんですか?

 

イラストはペン画やパステルなどで描いていました。結婚などで10年以上間を置いていた時期がありました。それでまた絵を描こうと思った時に元々絵が細かいのもあって「エッチングが向いていると思う」と以前進められた事もあり、カルチャーの銅版画の教室に行ってみたところ「これは自分に向いているな」と思いました。

一緒に習っている方の中に独立展などに出していらっしゃる方がいて、その方にどこかに出した方が良いと勧められ市の展示に出してみた所、美術関係の方々から「春陽会や日本版画協会などに出してみたら良いのではないか」と進められ出してみたら入選、自信がついて本格的にやろうと思いました。

カルチャーは月に2回2時間だったのですが、それだけでは余り制作出来ず、家で版を作るようになりました。家ではスペース的に足りずアトリエを自分で持ち、プレス機を買い独学へ切替、中央の公募展に出していこうと始めたのが本格的スタートでした。

アトリエを持った頃、アクアチントで使う松ヤニでアレルギーが出てしまい、独自の方法を探るのと同時に、東京のノントキシック銅版画教室があることを知り、一度体験にお伺いさせていただきました。

体験時にこれまでの経緯や作品を見せてみたら、「エッチングで教えることがないから作家としてやっていきなさい」と言われて、、最初はえ〜っと思ったのですが素人が出している展覧会に出してはダメと言われて中央の画壇に出すのと、今であればインターネットで画廊の公募の募集もあるだろうからそういうところに出してみようかなと思い出し始めました。

画廊の公募展に出品した所、版画なので安いのもあり複数売れたのでやっていけそうな感覚を掴み銅版画でやっていこうと決めました。

版画のみではなく版画を活用しながらミクストメディアなど様々な方法にチャレンジしています。

 

出展と言えばルーブル美術館、ドバイなど海外にも積極的に出展されるのですね。

 

SNS経由で色々なところからお声をかけていただくようになり、できる限り受けるようにしていたらこんな風になってしまいました笑

さすがにもう一杯一杯なのでセーブするようにしていますが、今のうちにできるだけやっていこうと思っています。
動くという意味でもそうですが、版画は刷るのにも体力は必要だし、大きな物は版も重いのでそういう意味ではお話があるうちにできる限り動いていたいなと思っています。

あと11月の日本橋Art.jpさんと銀座の創英ギャラリーさんとの企画展にお声かけいただいたのはすごく嬉しかったです。

好きが仕事に、
あくまでも自然体

バラの庭では非常に印象的な作品なのですがこちらはどのような物語があるのですか?

 

近くのパン屋さんに作品を飾らせていただく事になり、そこのお店がFunny Bunnyという名前なので、うさぎの大きい作品を作ろうと思って作りました。
またよく「うさぎとか描かないの?」と周りから聞かれていたのもありますね。

私の中のうさぎのイメージというのがあります。
亡くなった叔父がうさぎを飼っていて、庭仕事をする時にうさぎを放してその周りをうさぎがピョンピョンしていて、庭にはうさぎが食べられるようにレタスを植えたりとかしていました。

叔父の家は実家からすぐ近くだったのでうさぎがよく実家の庭や畑にも野菜を食べに遊びに来ました。野菜を食べるのは良いのですが、実家で飼っている猫がうさぎを襲わないように監視したりして家族でうさぎの安全を見守っていました。
そんな経緯もあって、うさぎがいる庭ってうさぎのために安全な庭を作っているだろう、庭づくりで人気なバラの花も植えているだろうなというイメージで描いています。

パン屋さんに飾るのであれば、黒刷りで水彩着色した方が明るくなるからその方が合うだろうと思い、水彩手彩色しました。色々な方にすごく評判で「飾らせてもらって良いか?」というお声を頂いています。

 

年間で何枚程度作品を作られますか?

 

始めた年から毎年、年間40〜50枚作品くらい作っていますが、小さな作品だと3センチや5センチ四方のものも含めてです。

家事や仕事、夕飯の支度まで午前中に終わらせ、自宅近くのアトリエに行く生活です。夜は大抵10時、11時ぐらいまで、遅いと夜中1時とか2時くらいまでやってしまうことがあります。
刷るのに時間がかかるので一度刷りだすと5〜6時間ほど刷り続けることは多いです。

 

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小さい頃から絵を描くのが好きでしたか?

 

はい、小さい頃からものすごく好きで畳を変えたばかりの8畳間をクレヨンで絵を描いてしまったりしてすぐに張り替えないといけないようにしちゃいました。
おとなしい雰囲気の子だったようですが、やってしまうことはちょっとイタズラな面がありました。

画家になろうとかは全然思っていなかったですね。美大も行っていないし、ちゃんと習っている訳でもないです専門学校だけ一応行きましたがちゃんと行っていたと言えるのかどうか・・という感じでした。

 

作品に対してのこだわりはありますか?

 

好きな物を好きに描いてるので、特にこだわりはないですが、自分の中で物語のような物は作っていてそれを表現するようにしています。

 

影響を受けた画家さんはいらっしゃいますか?

 

今はあまりいないんですよね。展覧会などもそれほど見に行かないですね。ミュシャは好きです、あとはエルテとかあまり人が知らないところだとアーサー・ラッカムも子供の頃から好きです。アーサー・ラッカムは美術、芸術というよりも絵本作家の世界なので美術系の方はあまりご存知ないかもしれないですね。昔の絵本作家が細かいペン画に水彩で色を塗っています。絵本作家のそういった方々に若い頃に影響を受けています。

 

あえて目標は持たない。
結果は後からついてくると信じています。

絵を描くインスピレーションを得るために何かしていることはありますか?

これといってないですね(笑)結構日常のちょっとしたことから出てきた出来事を自分の中で簡単なお話にして表現したり切り取っているから。あとは色々な付き合いの中で見聞きする事などから受けた感情などを投影していることもあります。

 

 

今までの作品で最も自分らしいと思える作品はありますか?

自分らしい・・・そうですね。。。
基本的に私の思考が一番反映されているなと思うのは、公募展に出している女性と植物が絡まっているような作品が最もテーマ性が強いですね。
テーマとしては自立、成長、滅び、生と死をテーマにしています。

具象なのですが、具象にとどまらない具象と抽象の中間というかどちらとも取れるような作品です。暗いので展示してもあまり良いとは言われないですが笑

 

 

作家として最もうれしかったことはなんですか?

全部うれしいです笑
とにかく描いて発表できること自体がうれしいです。

描いて終わりではなく発表することで社会とつながりができると言いますか、お勤めしているわけでもないですし、家事は家の中で完結してしまいますから私と社会をつないでくれるのが絵なのでそれはすごくありがたいなと思います。

もちろん売れるのもうれしいですが、私自身と社会をつないでくれるのが版画でそこから世界が広がっている、それが一番うれしいです。

 

 

今後挑戦していきたいことはありますか?

なるようにしかならないと思っているので、あえてどうなりたいという目標などは持たないようにしています。やった事の結果は後からついてくると信じ、結果的に「これができるようになりました!」というところから改めてどういう方向に向かっていこうかを考えていこうかなと思っています。

今はやらせていただけるものを自分ができるのであればやってみて・・・という姿勢で取り組んでいます。頂けるお仕事に柔軟に対応して行く方が私にはあっているのかなと思っています。

ただ銅版画は好きですし、向いていると思うので銅版画からは離れたくはないです。

 

 

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作品名:キオクはおぼろに
制作年:2018年
サイズ:185mm×227mm
号数:SM
技法:ミクストメディア シルクスクリーンを使ったコラージュ
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作品名:区切られた世界-あちら側とこちら側-
制作年:2019年
号数:20号
技法:ミクストメディア 銅版画、シルクスクリーン、ドローイング
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作品名:リボン
制作年:2019年
サイズ:12センチ×15センチ
技法:版画 銅版画 水彩手彩色
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作品名:冬の日差し
制作年:2019年
サイズ:50センチ×35センチ
技法:銅版画

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