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Interview: 藤井智美

簡単に自己紹介をお願い致します。

 

日本画を描いています、藤井智美です。智美と書いてサトミと読みます。
兵庫県在住ですが、作品発表する機会は京都が多くなっています
現在 創画会という日本画の団体の会員です。

 

絵を描き始めたきっかけはなんですか?

 

幼い頃から絵は好きでしたが、日本画を始めたのは京都市立芸術大学に入学してからです。

 

幼少のときはどんなお子さんでしたか?

 

好奇心旺盛ですが、真面目で大人しいタイプの子だったと思います。
小学生の頃に好きな学科は理科と答えた記憶がありますが、算数以外は全部好きでした。読書も好きでしたので、高校生の頃は、作家になりたいな。とか考えたりしてました。
それで文学部を目指して勉強していたのですが、親友が芸大受験の勉強をしてるのを見て羨ましくなり、高校三年生になってから急に芸大受験に方向転換しました。ところが、親友は芸大受験を止めて文学部に変更しましたので、逆になってしまいました。

 

作品にはどのような想いを込めていますか?

 

最近は主に風景画を描いていますので、写生していた時に感じた、気 を描きたいと思っています。
朝、夕の光の美しさ、季節の色、生命力、湿度、大地の歴史、そのような物に触れた時に感じた心の風景。心象風景ですが、表現を単純化し、わかりやすく、観て下さる方々の心の琴線に触れるような作品でありたいと思っています。

 

年間何枚程度作品を制作しますか?

 

150号から小品まで合わせて6〜8枚程度だと思います。写生と草稿にも時間がかかりますし、彩色も思い通りに行かないと途中で破り捨てて、最初から描き直す事もしばしばですので。

 

絵を描いているとき以外はどのような活動をされていらっしゃいますか?

 

絵の教室を幾つか持っていますので、週に二日くらいはそちらで日本画を教えています。
それ以外の日は写生に出ているか、アトリエで制作しています。しかしその他にも、創画会の運営に関わる会議や審査、京都日本画家協会やING兵庫県美術展などの会議、展覧会の展示準備など多忙です。

お休みの日はほとんどありませんが、友人に予約してもらったチケットでたまに劇場に行って、バレエや演劇、歌舞伎を観たり、 オーケストラを聴いたりするのが楽しみです。

 

これまで影響を受けた画家さんはいらっしゃいますか?

 

大学の時に日本画基礎を教えていただいた先生方から、日本画に対する姿勢というものを教わりました。
当時の京都市立芸術大学には明治13年開校の京都府画学校、またはそれ以前の京都画壇 四条.円山派の伝統を受け継ぎながら、革新的な日本画を創造しようという個性豊かな素晴らしい先生方がいらっしゃいました。
山岸純、大野俶嵩、石本正、上原卓、木下章、上村淳之、岩倉寿。。
上村先生と岩倉先生はまだ本当にお若い感じでした。

写真を見て描いてはいけない。写生しなさい。頭で考えないで、素直に見えたように描きなさい。散らない花を描いてはいけない。一輪の花の中にも宇宙がある。 上手く出来たからといってもう一度同じように描こうとすると、失敗する。絵を作りすぎてはいけない。 日本画の空間は象徴空間である。等々。

今思いますとたくさんの名言をいただきました。

 

(写真:創画会70周年記念展・福井県立美術館でギャラリートーク)

画家として最もうれしかった時、最もつらかった時はのことを教えてください。

 

そうですね。。三回目の創画会賞で、会員に推挙していただいた時は、学生時代からの憧れでしたので非常に嬉しかったですが、今は会員の仕事が大変ですので、嬉しさも萎んでしまいました。
やはり展覧会で私の描いた作品を観てくださった方が、良かった。感動した。と言って下さる時、または 師匠や同じ画家仲間が、良かったと言って下さった時でしょうか。

逆に、苦労した作品が展覧会の会場で観ると全然良くないと思える時は辛いです。
自分の作品に一番厳しい審査員は自分自身です。

 

年に何回くらい展覧会を開催していますか?また主にどこで開催していますか?

 

その年によって違いますが、普通は春と秋の創画展、京都日本画家協会展、グループ展、小品展など年に6回程度です。東京と京都での開催が多いです。
個展は3年に一度、春の京都で開催していますが、今年は京都府立堂本印象美術館でも個展をさせていただくことに なっていますので一年に二度の個展となりますし、グループ展も多くて、いつになく展覧会の多い年になっています。

 

絵を描くヒントを得るために何かしていることはありますか?

 

描くヒントは常に自然の中にあります。人物や動物を描くにしてもそうです。自分の感受性のアンテナが鈍っていなければ、思わぬところに美しい世界や描きたい世界を見つけられます。

 

今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。また、そう思う理由なども教えてください。

 

自分らしい作品、そうですね。。二度目の創画会賞受賞作の『そらみつ』でしょうか。

 

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作品名:そらみつ
サイズ:F150号
制作年:2015年
非売品

 

遠景の山並みと空を描いた作品です。遠くを見渡すような風景が好きですので。 最近作では『尾花』。これは今までの描き方からちょっと抜け出して、単純で象徴的な画面を意識して描きました。

 

直近の主な活動予定を教えてください。

 

今年(2019年)は6月6日から15日まで 『ING兵庫県美術作家2019展』 が兵庫県立美術館ギャラリー棟3Fで開催されます。これは2020年の東京オリンピック、パラリンピックに合わせ、兵庫県在住の中堅美作家たちが企画運営し出品するものです。

6月17日から29日までは銀座の創英ギャラリーでの『日本画展 西の陣』に参加させていただきます。

7月30日から9月23日までは京都府立堂本印象美術館で『京都現代作家展12 藤井智美 写生と本画 』 という個展をさせていただきます。これまで写生を展示したことはございませんが、今回は写生と本画を合わせてご覧いただこうという企画になっております。期間も2ヶ月近くございますので、お立ち寄りいただければ嬉しいです。

10月から12月には創画展が東京、名古屋、京都で開催されます。また12月には京都文化博物館で『表展』という表具の展覧会がございます。こちらにも作品を軸装していただき出品予定です。

これからどんなことに挑戦していきたいですか?

 

(写真:チュニジアにて写生中)

 

ISの影響もあり、暫く海外に写生旅行に行ってませんので、来年あたり行きたいなと思っています。
チュニスのSidi Bou Said という白と青の美しい街があるのですが、そこに住むチュニジア人のご家族と非常に親しくしていただいていますので、お宅に泊めていただいて、そこからサハラ沙漠に写生に出かけたりしていました。
日本の湿潤な気候と違って、カラッとして、濃い群青色の空、椰子の樹のある風景の中にいますとリフレッシュして制作意欲も蘇ってくる気がいたします。
ラクダも可愛いですし。。また描いてみたいです。

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作品名:秋声
制作年:2017年
号数:F 4号
技法:日本画
価格:200,000円
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作品名:ジェルバ島のモスク
制作年:2016年
号数:F 6号
技法:日本画
価格:240,000円
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作品名:花火II
制作年:2017年
号数:F 30号
技法:日本画
価格:900,000円
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作品名:Eucalyptus and Cafe de Delices
制作年:2013年
サイズ:160.6×60.6cm
技法:日本画

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