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Interview: ギャラリー港屋

港屋を立ち上げた経緯を教えてください

松永さんという夢二の復刻木版画に生涯をかけていた京都の木版匠と当時の社長(現会長)が会って、そこから夢二の木版画を扱うようになって、グッズ、肉筆を扱うようになりました。 最初は復刻の木版画を扱っていました。
昭和に入って、一度夢二の人気は落ちたんですよ。
竹久夢二は大正ロマンと言われるくらいだから夢二の人気全盛は大正ですよ。

昭和になると戦争に向かっていくから、夢二の絵は軟弱だ、戦意が落ちるなんて言われて人気がトーンと落ちて、昭和の中くらいから平和になってそのタイミングで復刻の木版画と東京の龍星閣という本屋さんが本を再版したりとかでもう一回盛り上がってきた。
だから昭和で一時期落ちた人気は平和になってから盛り返したわけです。

あと、当時は夢二のお子さんもご健在だったので、直接会いに行って「港屋の名前を使わせて欲しい」ってお願いしにも行きました。 たまき.jpg

港屋っていうのは「港屋絵草紙店」の事で大正3年夢二が日本橋に開いたお店なんですよ。そこはデザイナーショップみたいなお店で、夢二がデザインした色々な商品が置いてあるお店なんですよ。千代紙とか、、、生活雑貨系ね。
夢二が本当にやりたかったのはこういう生活雑貨のデザインなんですよね。

 

港屋さんはどのような画廊ですか?

うちは竹久夢二を中心に扱っているんだけど、竹久夢二をきっかけにして色々なご縁が広がっている画廊ですね。
特に日本中の百貨店に出店していることが多いので、百貨店型美術画廊ですね。
あとは画廊さん、本屋、美術館での展覧会とか。
竹久夢二の美術館は全国にあるんだけど弥生美術館、日光の美術館、金沢の美術館などは長くお付き合いをさせてもらっています。

日光や金沢の美術館は建てる時に肉筆画を買ってもらったり、ちょっとしたアドバイザー的な役割もさせてもらいました。

 

どのような作家さんを取り扱っていますか?

竹久夢二、米倉斉加年、池田満寿夫、熊谷守一、あとは油絵の作家で長船善祐さんの作品を取り扱っています。

例えば米倉さんと出会ったのは、元々米倉さんが夢二をすごい好きで夢二の話を聞かせてもらおうと思って、米倉さんの所に出向いたんだけれども、米倉さん自身も絵をたくさん描いているから「扱ってよ!」ということでお付き合いが始まって、
池田さんもちょっと縁があってお付き合いするようになって。先ほども言った通り夢二を中心にして色々縁が広がって行きましたね。

 

どのような経緯で竹久夢二をメインで扱うようになったのですか?

先代の社長(現会長)が絵画を取り扱おうってなった時に、銀座の画廊を回っても夢二の専門画廊がなかったんですよ。竹久夢二は当時下に見られていたんだよね。本流じゃないから、独学だし雑誌の表紙とか挿絵とかを描いていたから、画廊のオーナーからしたら

 

「挿絵画家じゃねぇか!」

 

って見られていた(笑)
逆に当時の社長はそこに惹かれたんだよね。
それで雑誌の表紙とかも沢山あるからっていうので、美術館もできると。作品としての魅力でいうと、幅も広かった。

夢二ってこういうのも描くのよ。浮世絵みたいな
海外から写真とかも取り寄せてこういう絵も描くのよ。この幅の深さもあるからね。すごろくとか、他にもこういう子供向きの絵も沢山描いていて。

たまき.jpg

何か専門性を持って描くと、再評価のチャンスとかもあると思うんだけど、おそらく夢二はこういう幅がなかったらここまで売れなかったと思う。

 

おすすめの作品とおすすめするポイントを教えてください。

夢二の復刻木版画全般ですね。
夢二の作品ということもそうだけど、復刻木版画という所に注目して欲しいです。

職人ともよく話すんですが、木版という技術自体がなくなってきている。
特に復刻というのは、この作品を見ながら掘るわけだから相当な技術がいるわけ。

 

だから夢二の絵もそうだけど、木版画という日本独特の文化を大事にしたいなと思っているので、夢二の復刻木版画がお勧めですね。

あと、木版画って独特でグラデーションがあまり使えない。多少ぼかしたりはできるんだけど、色に制限が出る。だから構図で魅せる必要がある。

夢二は木版画の魅力にすごく精通していた。
だから木版画で雑誌の挿絵なども含めて色々作っていたんですね。

 

日本において美術はまだまだ誤解が多い分野かと思います。これから日本でもっと広がっていくためにはどうすれば良いしょうか?

自分で楽しんで描けると良いよね。子供が描いた絵なんて本当にすごいでしょ。でもそこからの教育の影響なのか、どんどんみんな描かなくなってしまう。
もっと気軽にみんなが描くようになると良いよね。あとは気軽に接する機会として、チームラボなんていう企画もすごく面白い。美術って(絵のような)平面だけではなくて、色々な側面から楽しめないとみんな離れて行っちゃうと思うから。

こどもの頃の「絵が楽しい」を皆さんに続けて欲しいなと思います。

 

紅茸の母子.jpg
作家名:竹久夢二
作品名:紅茸の母子
制作年:大正2年
ジャンル:ペン画
サイズ:40×28㎝
価格:非売品
小春治兵衛.jpg
作家名:竹久夢二
作品名:小春・治兵衛
制作年:大正3年
ジャンル:版画(木版画)
サイズ:33×25㎝
価格:非売品
affordable 米倉・宵待草.jpg
作家名:米倉斉加年
作品名:宵待草
ジャンル:版画(レフグラフ)
制作年:2010年
サイズ:40×28㎝

affordable竹久夢二が表紙及び挿絵を描いた絵本.jpg

竹久夢二が表紙及び挿絵を描いた絵本

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