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Interview: ASUMI

絵に込められたエネルギーが観るものをポジティブな未来へ

 
 

“ 花と絵のシナジーでより強いエネルギーを „

 
 
「表現者としてのキャリアは花からスタートしました。ブライダル用にその方に合ったフラワーアレンジメントを施したり、花を用いて独自の空間を創り上げたり、20年近くお花に携わる活動をしてきました。コロナ下になる数年前に、とあるお花のレッスンで植物のイメージを描く機会があったのですが、それが転機でした。幼い頃に絵を習ったことがあった私は、そこで再び描くことへの興味を持ちました。その後コロナ下で時間ができたことで、何か新しいことをしようと考え、オンライン会議システムの背景の絵を描くことを始めました。現在は、植物や自然からインスピレーションを得て、絵単体のものや絵と生花をコラボさせたものなどさまざまな作品を作っています」
 
生花アートとの出会いは高校生の頃に始めた習い事だったASUMIさん。生花に関連する資格をいくつか取得し、生花店へ入社、その後ブライダル会社での経験を積み、市場での仕入れから販売、相手に合わせて0から作り上げるアレンジメントまで、花にまつわるさまざまな工程を学び独立。自分が作りたいものを追い求めていくうちに、絵という表現方法が加わり、花と絵の融合により新しい世界が広がったと話します。
 
「花の空間デザインでは、やはり背景(空間)も重要なんです。花だけでも十分綺麗だし、絵だけでももちろん成立するのですが、それらが合わされば迫力が増すし、自分が届けたいエネルギーがより伝わります。絵と花がそれぞれを補完し合ってシナジーを生み出すので、“これだったのか…!!” と」
 
 

生花と背景ペインティング


 
 

 
 

“ 絵という表現を通じて人にパワーを与える „

 
 
「現在は和紙にアクリル絵の具で描くことが多いです。日本文化を世界にも発信できる素敵な意味を持っていますし、何より使い心地も良くて。薄くて繊細なイメージが強いと思うのですが、意外と丈夫で強いんです。和紙といっても日本だけではなく世界各国で採れた素材もあり、作る対象物や見せたいテーマによって和紙の素材を選ぶことでいろんな表現ができる点も良いなと思っています。
 
テーマとして描くことが多いのは植物や自然で、そこに自分の感情を乗せています。また、宇宙も好きです。壮大な宇宙の中に、私たちが住んでいる地球やいろんな星が包まれているという生命のすごさ、そのエネルギーを絵に込める事が出来たらな、と。例えば、人を元気にさせたいと思った時、言葉に力がある人は喋ることでそれを実現できると思うのですが、多分私にはそれはできない。その代わりに絵などの表現を通して何か伝えられたらと思っています」
 
ASUMIさんは、目には見えない大きなエネルギーのうごめきを感じ取り、エネルギーごと絵に封じ込めることで、観るものにポジティブな力を与えます。11月のWEB個展に出品した『宇宙花』も繊細でありながら、生命体の力強さを感じさせる作品です。
 
「この絵は、宇宙がパズルだったら..とイメージして描きました。広い宇宙の中にはどこかに花が咲いている世界があったり、実は海があったり、空のような空間があったりするんじゃないかって。それから宇宙って一色ではないから、花のように生命体はさまざまな色でエネルギーを放っていて、だから暗い部分にもいろんな色を混ぜてつくっています。この絵はパズルの中の1ピースであって1枚で完成ではない、という思いがあったので今回は単体での販売はしませんでした」
 
 

宇宙花


 
 

 
 

“ 五感に働きかける舞台アートにも挑戦 „

 
 
「特に思い入れがあるのは、博多駅で季節ごとにライブペインティングさせてもらっていた時の向日葵の絵です。ウクライナの戦争が止まぬ中、平和への願いを込めて描きました。また夏の絵という事で、日本の夏にふさわしいという意味でも向日葵を選びました。下方には瓦礫で崩れてしまった街や巻き込まれてしまった生き物や人々。その上には入道雲があって、消えてしまった魂が浄化され空に、宇宙に上がっていく。そしていつの日か再び地上へ降り注ぐ命というエネルギー。循環。そして、”戦争の火花” “人種””花火”を表した向日葵。いろんな品種がある向日葵の中心部分を細かく描き分けることでここでは多種多様な人間の顔を表現しています。世界は様々な人種の人たちで成り立っていて、皆が平和に暮らす世の中であって欲しい、という自分なりの願いを込めています」
 
博多駅の地下通路に面したコワーキングスペースで、通行人とコミュニケーションを取りながら大きな作品を複数生み出してきたASUMIさん。そこでは様々な交流もあったといいます。
 
「”自分が好きなデザインの道に進むか、親が望む大学に進学するか、進路に迷っている..”と描いている絵に興味を持って話しかけてくれた高校生がいらっしゃって。それに対して自分の人生の話をしました。するとライブペインティング期間最終日に、もう一度顔を見せにきてくれて。“デザインの道に進むことに決めました!ありがとうございました”と報告に来てくださいました。絵を通じて、そして私のエネルギーやメッセージが何かしら届いたのかもしれないと実感した印象深い出来事でした」
 
人をポジティブな未来へと後押しするASUMIさんはどんな未来を構想しているのでしょうか。
 
「最終的に舞台アートにも携わりたいと思っています。花もそうですが、生きている間は限られている。花や植物の生きているエネルギー、視覚だけでなく嗅覚やらの五感、六感など多方面から働きかけたいなって。そこで何かを感じ取ってもらい、何かその方のアクションのきっかけになれたら嬉しいです。自分の思いをアートという表現の世界でベストな形で可視化できるよう、今後も色々な経験を積んでいきたいです」
 
 

博多駅 ライブペインティング


 
 

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